羊歯にゐて太古顔なる蜥蜴かな 野村喜舟

太古の昔から地球にはびこる羊歯のしげみにいれば、蜥蜴もまた、太古の恐竜のような悠久の顔をしているよ、ということだろう。「太古顔」という造語が句の要。「太古の顔の」とやるとすっきりするが、原句の味が消えてしまう。「得意顔なる」と同じ文体だからか、「太古顔なる」ということで、なんとなく蜥蜴の気持ちよさそうな顔が、戯画的に見えてくる。

角川「俳句」2014年9月号、宇多喜代子エッセイ「俳句と歩く」引用句。