羊羹の闇そつと切る月光る  東直子

羊羹の濡れた闇と、光る月の硬質な光が、「そつと」照らしあう。羊羹をばさばさぞんざいに切るということはあんまりないけれど、「そつと」という語を添えてやることで、夜の静けさや、丁寧に切られた羊羹の断面の艶が、よくよく感じられる。

「鏡」第14号(2014年10月)より。