シスタアの靴平たしや菜を間引く  柳生正名

ヒールというのは、性欲をかりたてるものだと聞いたことがある。性欲とは対するところに存在するだろう、シスターの靴が平たいのは当たり前のことだろうが「シスタア」と「ア」を表示することで、妙に湿っぽくなり、何だか清いはずのシスターもいやらしく見えてくる。菜を間引くという、命を摘み取るところにシスターの存在との矛盾が生まれ、けれどもそれは人間が生きるための食物をよく育てることにつながり、この世はなんとも矛盾で溢れているなと、感じさせられるのだ。

句集『風媒』(2014年 ウエップより)