秋刀魚は、食事をつくり、出す側としてはとても助かる魚だ。塩をふって焼けばそのまま食卓にあげることができる。そして、腸まで食べることができるのも、秋刀魚の特徴だ。しかしながら、秋刀魚の目は食べない。鯛等大きな魚の兜焼きであれば、コラーゲン!とも思うので食べたりもするが、秋刀魚のそれは、あまりにも小さくて食べられない。綺麗に食べたその後に、目だけが残っている。それは作者の罪悪感を呼び、食卓に沈黙を残すのだ。最近は、頭をおとされ腸も取り除かれた秋刀魚が売られている。しかし、腸を食してこそ、この目に見られてこそが、秋を感じ、生を感じるのではないだろうか。
『俳句2014年11月号』(角川学芸出版)より。