子規の忌の座りて傘を股間へと  越智友亮

傘というのは、差しているとき以外は本当に置き場所に困るものだ。座った場所は、たてかけるのにふさわしい場所もなく、仕方がなく自分の又にはさむ。「股間」とすることで、自分の又深くに傘を挟んだのだろうということから、この傘が濡れていなかったことがわかる。ふと、ネットで調べてみると、九月十九日は、ここ数年晴れている。やっぱり、いらなかったんだな…と行き場のない傘の気まずさを、傍目から面白く思う。

週刊俳句392号2014年10月26日より。