紙魚のぼりつめて天金崖なせり  堀本裕樹

紙魚をこれ以上豪奢に詠めるだろうか。
天金の書を這うていた紙魚。一書のうちをのぼりつめ、天金の上に出た。その天金の大地は細く岬のようで、一寸先は崖である。紙魚にとって「此の世のものとは思えない」風景だったろう。

同人誌「梓」2015年冬号より。