水仙に水うすうすとよごれけり  阿部完市

水は水であるときが一番美しく、何か他の媒体を通すと汚れてゆくいうというのだ。それが、水仙のように、美しく凜と佇む花であっても例外ではないのだ。それでも、水仙は水に近く、水は「うすうす」としか汚れない。ひらがなであることから、その汚れゆくスピードもゆっくりであるように感じられる。

句集『水売』(2009年 角川学芸出版)より。