時間はいつも同じように流れているのに、その感じ方は時によって速くなったり遅くなったりする。不思議なものだと思う。
歳の暮に流れている時間はとりわけ不思議なもので、概ね速くなるのだけれど、どこか流れながら留まっているような感覚に陥ることがある。そんな時間の不思議がこの句にも描かれているようで、句の静けさの奥にあるものに触れてみたくなる。
歳晩の青空にぽっかりと浮かんだ一つの雲。「やうやく」の一語がとても上手いなと思う。それに、歳晩や年末という言い方ではなく、「歳の暮」という言葉を選んだことも。もちろん「歳の暮」は一日の夕暮とは関わりがないけれど、「暮」の一語は一日を際立たせ、「やうやく」の時間の流れとほどよく通い合っているのである。