鼻高く眠るおとうと秋時雨 江渡華子

 家族を詠む。しかもあらためて詠むというときには、常日頃とは違った感情が胸の内にあって対象を見つめているような気がする。例えば、帰省して久々に家族に会ったというようなとき。「鼻高く眠るおとうと」には、眠っている弟の横顔を見て安らいでいる作者の姿が見える。「鼻高く」というところが弟の特徴を捉えているのだが、それは美しく成長したことを喜んで言っているわけではなさそうなことが次の句があることから解る。「兄妹の鼻高くある春炬燵」。つまり「鼻の高さ」はこの家族のつながりを感じさせるひとつの特徴なのである。それゆえ、それを見ている眼差しに、家族の元へ戻ってきているという心の安らぎが見えてくるのである。もちろん作者自身も鼻が高い。
けれども「春炬燵」の句に比べると、弟を見つめる眼差しはちょっと切なさが滲む。
秋という季節。しかも通り過ぎるように降ってはやんでしまう時雨の短さが、弟と過ごせる時間の短さと呼応して、切なくさせるのかもしれない。