ケーキ詰めて箱やはらかし冬夕焼  今泉礼奈

ケーキがやわらかいのではなく、箱がやわらかいと表現した。そのことでむしろ、箱に詰められたケーキのやわらかさが、危うさを伴って伝わってくる。たしかに、あの、ケーキを入れる箱の頼りなさといったら。
冬夕焼もまた、やわらかい。ケーキを携えて向かう先には、ささやかで優しい夜の時間が待っている。

「週刊俳句」456号(2016年1月17日)10句作品「顔の高さ」より。