りんご飴の天辺平ら夏の空  柴田千晶

幼い頃、出店のものを食べることを禁じられていた私にとってりんご飴は憧れのものだった。
りんご飴とは、林檎をまるごと棒にさしたものを飴にくぐらせ、棒を上にした状態で平らなところに置き、乾かすとできあがる。飴は薄く林檎を覆っているだけで、簡単に砕ける。しかし、その平らなところだけは、飴がたまる為、他の部分に比べて少し硬いのだ。
昼の屋台で買った林檎飴は、とてもオーソドックスだったのだろう。下にされていたものが天辺になる不思議な構造。夏の濃い青空に飴の透明感が涼しい。

『街』No.126 2016年8・9号より。