空青し寒くなければ冬がよし  越智友亮

寒くなければ、空も青いし、冬がいいのになあ。寒いなあ。そんな呟きが、さらりと句になっているように見える。でも、実際には語順が面白い。最後に、寒くなければ冬がいい、と思う理由が、冒頭の「空青し」に戻っていくからだ。もちろん、ほかにも、こたつでみかんとか、星がきれいとか、冬を愛するいろんな理由はある。でも、冒頭に「空青し」と、冬空の青さを読者に印象づけているので、やっぱり、作者は、冬の空の青さが大好きなんだろう。

それにしても、「寒くなければ」なんて元も子もないことを言ってしまうところが、普通っぽくていい。「毎年よ彼岸の入りに寒いのは」という、正岡子規の句を思い出す。

「傘karakasa」vol.2より。特集は「ライト・ヴァース」。ヘビー・ヴァースのカウンターとしてのライト・ヴァースであることを、意識しておきたい。

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