六月やねずみの駆ける山の駅    山田祐嗣

「駆ける」に、ねずみがいきいきとしているさまが凝縮されている。まだ夏本番ではないので、山の駅にも、そんなに人がいないのだろう。ふだんの自分とは遠いところで、ねずみが生きている。違う世界がある。それが新鮮に感じられることって、ある。

三重県高田高等学校の俳句部誌「轍」第6号(2010)より。ほかにも新鮮な句いくつか。

足の砂はらう片手に夏帽子   岩野桃子
水槽の魚眠りしか夏の暮   近藤雅之
六月やねずみの駆ける山の駅    山田祐嗣
雷や玄関先の石一つ    山田祐嗣
オーブンにローズマリーの香りして   吉川開