汝が腿に触れジーパン厚し夕薄暑  榮猿丸

『俳句』(角川学芸出版 2011年11月号)掲載より。

思わず、赤面する。
相手の腿に触れにいく機会は少ないと思うので、膝枕なのだと思う。頬が触れることで、布の厚みを感じるのであれば、なおさらエロティックだ。
作者が素直すぎるほどに素直に欲求を見せている。腿に触れているけど、直に触れていないじれったさが伝わってくる。それを比喩や特異な言葉に頼らない率直さが面白い。「こんな暑い日にこんな厚いジーパンはいてんのかよ」なんていう会話も聞こえてくる気がする。

他にも、句をいくつか抜粋。
栄螺壺焼食ひ終へし指いつまで嗅ぐ
サックス奏者唇の泡舐め取り夏
ベランダに名月を見るふうんと言ふ

面白がっているわけでもなく、冷静にその情景を詠んでいるのだろうが、作者の視線がエロティックなのだろうか。一連の句に色気を感じる。

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