爽やかにフランス装でいかがです  鷹羽狩行

出版社ふらんす堂が、新しいオフィスへ引っ越したことへの挨拶句。ふらんす堂の本といえば、フランス装の美しい装丁が、まず目に浮かぶ。そこを取り上げて、この句は「句集は、爽やかにフランス装でいかがですか?」と、呼びかけている。そのまま、営業のセリフとして使えそうだ。ふらんす堂の気持ちになって、ふらんす堂の人間のように詠まれたこの句には、愛情を感じる。うーん、いい挨拶句だ。

ふらんす堂の広報誌「ふらんす堂通信」130号(最新号)より。冒頭見開きに、同じくふらんす堂引っ越しを祝っての、俳人たちからの挨拶句が掲載されている。ほかに「女手に社運華やぐ涼しさよ 後藤比奈夫」「見渡して爽やかに物光りをり 岸本尚毅」など。「爽やか」という季語を使った句が多いのは、ふらんす堂やそこで働く人たちの印象だろうと、私はうなずいた。

以前、引っ越ししたばかりのふらんす堂へ伺ったとき、野口る理とふたりで、いくつかインタビューを受けた。その内容も、同じ号に「俳人インタビュー」として掲載されている。スピカの話や、俳句に思うことなど、結構まじめに答えた。