一晩は雪の匂いの姉と寝る  福田葉子

『陸の果』(豈52号)より。

私自身、兄弟は多いが姉がいない。むしろ、姉以外はいるので、姉に対しての憧れが強くあったりする。
イメージとしては、姉は儚い生き物だ(妹弟にとっての私がそうだというわけではない)。儚さにも種類はあるが、『銀河鉄道999』のメーテルが私の姉的イメージが強い。その儚さと連動して、雪の匂いがする兄弟がいるのであれば、その対象は姉なのだろうと思う。
もう大きくなった今、兄弟と同じ布団で寝ることはない。たまたま、久々に寝た姉の姿を見て、その儚さに雪を思い、懐かしさと同時に消えてしまいそうな不安を抱くのだ。
姉への憧れは、そう頻繁に意識する必要はない。一晩より少ないと不安になり、多いと遠ざかりすぎる気がする。どちらもあまり自分によくない。一晩という距離感に兄弟それぞれの思いが見えてくる。