降る雪にさはられてゐるクリスマス 攝津幸彦

降る雪がつぎつぎに、自分に触れてくる。まるで触れたがっているように、つぎつぎに。雪のクリスマス。クリスマスというのは、どこか世界に承認されているような気持ちになる、不思議な時間だ。「さはられてゐる(=触られている)」を、「さらはれてゐる(=攫われている)」と空目してしまうのも楽しい。

『摂津幸彦全句集』(摂津幸彦全句集刊行会、1997年11月)より。