深爪にバラ色さしぬ結氷期  日下野由季

深爪した指の先に、ふと血の色がさした。その血の色を、バラ色といいなすことで、結氷期のしろくつめたい世界の中に、さっと華やかさが生まれる。結氷期と置いたからこそ、生きているわたしの存在感が強まる。もちろん、小ささも。

「俳句」最新号(角川学芸出版、2012年2月)、新鋭20句競詠「立春」より。ほかにも「返り花羽毛をつけて吹かれけり」は新鮮な句、羽毛をつけていることで返り花の硬さ・高さが思われる。また「野遊やゆつくり乾く掠り傷」には、癒えてゆくことの甘美さ、やさしさがある。まさに掠り傷って「ゆつくり乾く」ものだなあ。