晴れて今朝煙のごとく卒業す  佐山哲郎

晴れている卒業式、みんな落ち着いたような、落ち着かないような顔をしているのだろう。煙のごとくゆらゆらととしている作者は、そんな同級生の雰囲気を眺めながら、ちょっと離れているところにいる。春の晴れた空に、煙なら似合うんじゃないかとぼんやりと考え、満足げに校舎をあとにするのだ。
句集『娑婆娑婆』(西田書店 2011年)より。