庭の色盗んでほのか紋白蝶  小池康生

句集『旧の渚』(ふらんす堂 2012年)より。
庭の色というと、花だろう。ある種の花泥棒であるこの描き方は庭の句としても蝶の句としても面白いのではないだろうか。紋白蝶のマットな白は、その質感が薄くあることもあって、他の色が反射しそうだということは共感できる。盗まれたなと思いながら、そのほのかな美しさに、穏やかな気分で庭を眺めているのだろう。