蟇囲むセーラー服の増えにけり  今村豊

セーラー服を着るくらいの少女は、蟇に反応するだろうか。嫌だと避け、忌み嫌う方が納得のいく光景であろう。そういえば、会社の先輩が小さい頃大きい蛙(話を聞いたところ殿様蛙だと思う)を田んぼから拾ってきて飼ったことがあるという。散歩のために腰に紐を括りつけて庭につないでおいたが、朝になったらいなくなっていたという。無邪気に話す先輩に「カラスとか猫にやられたんじゃないですか」なんて意地悪を言ったが(ひどいコメントだと思う)小さな女の子にさらわれた蛙を想像すると、ほほえましい。さて、この句の蛙は・・・やはり戸惑っているのでは名ないだろうか。どんどん増えて自分を見下ろす少女達。少しでも動けばキャーキャー言う。どうすればいいのかわからず、途方に暮れている姿を想像して、やはりきゅんとする。

『澤』(平成24年8月号)より