ふるさとの雨美しき青田かな   群嵐子

郷愁を狙いすぎている感は否めないが、私の記憶にもこういった情景はある。ふるさとが一番美しく見えるのは、ふるさとから少し離れたときだ。離れた土地から戻った時、故郷の美しさに気付く。この時が記憶の中で一番美しい気がする。青い田が、晴れれば空をうつし、雨なら雨を受け止める。静かな雨の日に、青田も同じく静かなのだろう。

『萌 2012年9月号』より。