ボジョレヌーボー口にふくめば遠き火事  大木あまり

ボジョレヌーボーの若い赤色から、遠くに起きている火事がそんなに大変なものではないように思える。作者自身が冷静に見えて、火事にもそんな興味がないようにとれる。若いことがわかっていながらも、毎年買ってしまうボジョレヌーボー。ぼんやりとサイレンの遠ざかる音を聞きながら、毎年のイベントを静かに終える。

『俳句 2012年12月号』より。