冬の瀧分かれまた会ふ激しさよ  有馬朗人

音が聞こえて来る。冬も瀧は凍ることなく、その轟音を響かせる。自らの勢いに、途中分かれ、また勢いにより一つになる。分かれるだけでも勢いはわかるのに、また一つになるということで激しさを畳み掛けてくる。思わず見とれ、その迫力に恐れすら感じる作者の心情に、こちらの意識も乗っ取られたように感じる。

句集『流轉』(角川書店 平成24年11月)より。