上古より日輪炎えて土の春  飯田蛇笏

われわれの知らないはるか昔から、太陽は輝き炎えつづけてきた。「上古」とは大昔の意で、特に上代を指す言葉でもある。「古墳発掘二句」と前書の付されたうちの一句目なので、縄文や弥生の時代の土器などの発掘を題材にしているゆえに「上古」という言葉を当てたのだが、これが単に大昔を指すのみならぬちょっと珍しい語の選択だから、一句が締って見える。
「土の春」もいい。くろぐろと湿った土から虫たちが目覚め這い出る。土が春の芽吹きを支える。「水の春」や「春の土」は歳時記にもあるが、「土の春」もまた愛すべき言葉だ。

飯田蛇笏編『蛇笏自選句集』(新潮文庫・昭和35年)より(第三句集『山響集』に収録の句とあり)。