白魚のいた水はきらきらといきいきと照り輝いていたのに、いざ食べんと白魚を漉し取って、ボウルに残った水のほうはというと、なんともどんよりとしている。白魚のぬめりや淀のようなものが水に残ってどんよりとしているという風に理屈で考えることもできるけれど、むしろ心象的にそう感じられるというところを積極的に読みたい。命から引き離された、もうきらきらと揺らされることはない水の貌が、たしかに「どんよりと」見えたのである。決して美しい句ではないがこれもまた世界の真実。
『布施伊夜子集』(ふらんす堂・2004年)より。