手を使って何をするのか、三つ羅列した。この人がどういう人なのか、この三つの事柄でなんとなく人物像が描けるところが面白い。作者は医師だったから、傷を縫うのは職業的日常。ただの食べ物ではなく菓子であるところには、ちょっとチャーミングな一面がのぞく。雪を見ているだけではなく掬っているところも同様。
深読みすれば「傷を縫ひ」は人へしてあげる行為でもあり、死がのぞいている瞬間でもある。「菓子喰ひ」は自らの欲にしたがった行為で、生のエネルギーを感じる。「雪を掬ふ」には、そのどちらもを昇華させるような清らかさがある。
『八木三日女全句集』(沖積舎・平成18年11月)より。第一句集『紅茸』所収。ひょんなことから全句集を七冊ほど手に入れた。篠原鳳作、阿部完市、橋閒石、原石鼎……三日女もその一冊。本の置き場がないという懸念は横に置いといて、にまにまと眺めまわしている。さーて何から読もうかしら。