抱けば君のなかに菜の花灯りけり  河原枇杷男

恋しい君を抱きしめたとき、君のなかに菜の花がともった。「君のなか」とは君の心の中でもあり、菜の花畑にさす日差しのぬくもりが君の肌の体温を思わせもする。菜の花のように明るい色がともったのだから、君の心はぼくの抱擁を驚きながらも喜んでくれていて、それが分かったぼくもまた幸福な恋の喜びを味わている。なんと鮮やかな恋の句。

猫の写真と恋の俳句のアンソロジー『逢いたくなっちゃだめ』(写真:板東寛司/選と文:青嶋ひろの あおば出版 2005年)より。