2012年9月10日

海鼠掴む腕の防水時計かな

『俳句in沖縄』というイベントの仕掛け人は、俳人・三浦加代子さん。知りあうきっかけは10年前、沖縄は開邦高校の引率教師として彼女が俳句甲子園にやって来たことだった。『俳句in沖縄』の取り組みで素晴らしいのは、単にその日イベントを催すというだけでなく、年間通して子どもたちに俳句を教える、その息の長い姿勢にある。本当に俳句と子どもたちが好きでなければできない。

加代子さんに「お久しぶりです、よろしくお願いします」と挨拶すると、「これよかったら読んでね」と手渡された本入りの封筒。開けてみると、なんと「美ら海歳時記シリーズ なまこ歳時記 樹手目編」!

(写真)

樹手目という分類に属するなまこをカラー写真と俳句と文章をもって紹介するこの歳時記。「なまこ歳時記」というだけでも十分にマニアックなのに「樹手目」とは。触手が樹のかたちをしているのでこの名前がついているらしい。でも、樹手なんて、ちょっと素敵だ。

五億年金海鼠(キンコ)の樹手の透きにけり  加代子

しかも読み進めていくと、このあと『無足目編』『楯手目編』も控えていると書かれている。うむむ、恐るべし。