ソウル俳句会×スピカ 三泊四日道中記①

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あれは二年前の夏。道後のレグレットカフェでひらいている「あるね句会」に、飛び入りで参加してくれた三人がいた。それが、主宰・山口禮子さん率いるソウル俳句界の面々。おいしい料理に舌鼓を打ちつつ、喧々諤々、俳句について語り合い、盛り上がって「じゃあ、今度ソウルいらっしゃいよ!」「え、もちろん行きます!」とお返事したお酒の席での口約束を、山口さんしっかり覚えていてくださって、今回の旅が実現したのだった。

華ちゃんる理ちゃんに声をかけると、快くOK。スピカ三人での旅行が、また一つ増えることに。

ソウル俳句会というのは、ソウルに在住の日本人を中心にした俳句会で、現在50人ほどの会員がいるとのこと。また、ソウルから日本に帰った人たちでOB句会もあるというから、合わせればもっとたくさんの人数になる。

毎年初夏のころに、日本から俳人を呼んで講演をしたり句会をしたりというイベントを企画していて、その2013年度に呼んでもらったのだ。われわれまだ若い俳人ということで、日本人学校の生徒さんや韓国の大学で日本語を勉強している学生さんなどにも声をかけて、はじめての俳句の作り方講座+投句で勝ち抜き句会をすることで、話がまとまった。

とはいえ、私は初海外旅行。あれやこれやと心配しているうちに、すぐに出発の日。華ちゃんは仕事の関係二日目から参加のため不在、搭乗の2時間半も前にる理ちゃんと空港で集合するも、搭乗手続きはすぐに終了。ラウンジで、前日に書店で仕入れた『ソウルの歩き方』を熟読する。このワタリガニの醤油漬けっておいしそうだね、でもチヂミとかチゲなら観光客でもたどり着けそうだけどこういうカニとか私たちだけじゃきっとお店を見つけられないね、と言っている間に、搭乗時間。機内では飛行時間内に見終わる映画を見ようということで「まいちゃんすーちゃんさわこさん」という100分程度の邦画を見る。しかし、ラストの「一年後…」というところで、あえなく着陸。一年後、どうなったのだ。

さて、夕暮れの空港まで迎えにきてくださったソウル俳句会のみなさんと久々の対面。な・つ・か・し・い!ホテルに荷物を置いたら、一緒に夕食。なんと出てきたのは「カンジャンケジャン」、さきほど盛り上がっていたワタリガニの醤油漬けだ。まるでウニのような濃厚さ、食べることに集中して、なんと残念ながら初日の写真がないのです。

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たった一枚、これだけありました。二次会のディーブな居酒屋へいく途中の道。もう、見るからに、ディープでしょう。

なんだかんだで12時ごろまで飲んで(韓国のビール、マッコリ、韓国焼酎、キイチゴのお酒など、6種類のお酒を網羅)、ホテルで就寝。

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翌日は午前中に市内吟行。繊維問屋の町へ。とはいえ、市場らしく食べ物もたくさん売っていて、海苔巻を食べているところ。

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ざるの水切って市場の夏はじまる  紗希

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こちらはピンデトックという、いわゆるB級グルメ。臼でもやし緑豆を挽いて作った生地。できたてのアツアツをほおばる。

虹を待つ緑豆煎(ピンデトック)をかじりつつ   る理

市場を奥へ進んでゆくと、繊維街へ。繊維ということは、そう、チマチョゴリ。

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子供用チマチョゴリの前で、一句が浮かばない顔の紗希。

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妙に楽しそうなる理。チマチョゴリの袖になる部分、色が違う布を一枚一枚縫い合わせているのだという。ひええ。とってもかわいいけど、きっと高いよね(すぐ現実的なこと考えちゃうわ)。

さて、ところで次のものはいったいなんでしょう。

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ヒント:日本にもあります。季語っちゃ季語。

答え:フードキーパー、いわゆる蠅帳である。韓国の蠅帳。作ったごはんをすぐには食べないときに、この布をかぶせておくのだ。

それにしても、チマチョゴリはパッとパステルカラーがまぶしい。

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母の日や袖に蝶縫うチマチョゴリ   紗希

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颯爽と俳句つくる、る理。

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レース生地白を違えて積み売りに  紗希

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そんなの撮って何が面白いの?と言われた、レ・ミゼラブルの映画半券。日本と同じものが、ハングルで書かれてるって、新鮮じゃない。

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あれ、どっかで見たことある…?

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まくわ瓜。前日の夕飯でもデザートに登場。小さいころよく実家で食べていたので懐かしい。

こうして、たっぷりの市場吟行を終えて、今回の旅の目的であるソウル俳句会記念イベントへと一行は向かうのであった……。(続)