昭和十五年七月二十八日、出口一男発行
相生垣秋津句集『白毫帖』
ちょうど秋津さんの弟、ご存知の瓜人さんについて勉強会をやったばかりなのですが、僕が瓜人さんの句を読みあげて、しーんとして、たまに若ちゃんが笑う。また、僕が瓜人さんの句を読みあげて、しーんとして、たまに生駒くんが笑う、なんともいえない空気でした。
その、「しーん」も「タハッ」も愛していきたい。「しーん」と「何かありそうなしーん」の違いというのは大事な事のような気がします。
よく筋肉漫画なんかだと
「ヤル奴ぁよぉ、ニオイがすんだぜ」
みたいな台詞が出てきますが、印刷された一行にも「ヤル奴」は何かプンプンくるはずだと信じています。
なんかいい加減に思い付いたわりに良いマクラじゃないか、しかし言いたい事が賢く綺麗にまとまらないなぁ。
ま、いっか
じゃあお兄さんの方の秋津(シュウシン)さんやります。
春光やあたかも蒔ける金砂子
あたかもをここぞとばかりに
烏蝶まん中にして蝶絵巻
目立つ
帚目にきてすわりたる鹿の子かな
とことことこのストン(可愛い)
蛭のひも蛙の目よりたれにけり
雑詠選集にも入っている句。「見る」って句は時にこんな偶然のなんとも言えない句ができるもんですね、好きな句です。
白藤の棚にまろびてまだ垂れず
「まろびて」って垂れてきそうな響き
藤棚や蜂のいとなみ花毎に
平和だなぁ、良き日曜のような句。
こぼしつつ壺にあまりし新茶かな
あぁこれ、好きな句です。とっても気持ちいい。
甲虫の脚の彈機(バネ)見ゆ夏の夢
わわわ、甲虫がヌイグルミも触れないぐらい苦手な僕には悪夢のよう、しかも夏の夢、うわわわわ…。バネ…、彈機…、こ、こわい。
ゆさゆさと頂にゐる松手いれ
安心、これは好きな句です。ゆさゆさが豊かな気持ちにさせます。これ歳時記とかに載ってればいいのに。
肌ぬぎの女きいろし黴の宿
ヒィ…、つげの「リアリズムの宿」がふっと思い浮かびました。あれは好きな漫画だけど…。
じゃあ、そういうわけで…
ばーい