橋さんと言えば?◯石さん⑤

平成15.11.20 沖積舎発行
橋閒石全句集より

いやー、雪ですな。麒麟村の商店街で鉄のシャベルを買って雪掻きをしました。

土曜も日曜も仕事でございますよ。いやー、雪ですな。

なんというかですね、長野に一年居たせいか、雪、全然嬉しくも楽しくもありません。

今日は『荒栲』から、あらたえと読みます。

バラと豚をむすぶ延長線上の墓碑

豚バラ。

落雷の直後ゆたかな金魚の尾

ゆたかなにフフン感がある。

石仏と笑いころげる栗の風

友達になれそうなタイプの人です。石仏で三句載っていますがどれも面白い。

影さらになし白熊と女といて

を遠くから見る。

女狐の夢が孕みし冬椿

つげ義春の「紅い花」を思い出しました。違うんだけど。

柚子空に満ち白髪の狂言師

白髪もまた楽しい。

二度とかけぬ椅子を老いゆく沼の前

人はだんだん沼が好きになります。

寒の松伐れと亡父の独り言

これ僕のとっても好きなタイプの句です。僕もいつかはこんな亡父になりたい。子居ないけど。

餅好きの巫女に老いたる山傾く

餅と巫女の合う事よ、楽しさよ。

行く春のうしろ姿の艶なりけり

あ、行く春のうしろ姿だ!といつの日か言ってみたい。

例の鴉に見られ石膏像おとす

例のあの鴉です。

身辺に漂うは声か妻か花か

悲しいですね、とても寂しく綺麗な句です。

うしろ姿が葱ぬくよ鮮明に執拗に

幻がくっきり見える寂しさ。

花火ひらき餅の厚みの恋人たち

餅好きだなぁ。餅好きじゃないとこんなイメージわかないでしょう。

ふるさとの夜を寒鯉と眠りけり

健やかにすやすやと。

つやつやと老女らあそぶ芹と雲

きっと餅肌。

足速き老人独楽をふところに

これもすごく好きなタイプの句です。楽しい老人はほんと楽しい。

犬掻きの老人を呼ぶ森の声

どこで泳いでるの…。

贋物と閑かさ競う百日紅

嫌みな贋物となんとも楽しい贋物があって多分この句のは楽しい方。

しなやかな老人紙切虫を愛す

小さくてにこにこでしなやかで。

カレー臭い口で束ねるほとけの花

面白い。カレー臭いほどカレー臭い表現はありません。

厄介ないのち遊ばす冬の蝶

うほほい。

いやー、面白かった。でももっと面白い句が晩年続きます。自在です。

じゃ

ばーい