平成13.9.18沖積舎発行
佐藤弓生歌集『世界が海におおわれるまで』より。
外に出ると恥をかく事が多いので、怖くてあまり集まりには行かないようにしているのですが、人が嫌いかと言えば大好きだし、行ってしまえば必ず楽しく過ごして帰ってきます。ちょっと勇気を出して行けば良いんです。
先日かばんの会に遊びに行かせていただいて、初めて佐藤弓生さんにお目にかかりました。あんまりはしゃいで皆様から俳人ってのは阿呆だと思われても申し訳ないので、大人しくしていましたが、内心は、うわぁ、弓生さんだ、嬉しいなぁ、来て良かったなぁと、心の中ではしゃいでいました。
やっぱりたまには外に出た方が良いんです。その日はたくさんの方と知り合えて、とても良い日でした。
弓生さんの短歌は音が心地よくて、ここで詠んでいるけれど、どこか遠くな感じがする、不思議な魅力のある歌です。では第二歌集の『世界が海におおわれるまで』を読んでいきましょう。
卓上にバナナぶりぶりひしめいてまひるひみつの闇を飼いおり
落語『やかん』に「鰤はブリブリしているからブリっ!鯖はサバサバしているから鯖っ!」ってのがありますが、ぶりぶりしているのはバナナかもしれないと思いました。
風鈴を鳴らしつづける風鈴屋世界が海におおわれるまで
有名な歌ですね。風鈴の音が路地から街へ街から空へ海へと広がっていくようです。これ大好きな歌。
きよくなることはなけれどいつまでも水をひとくち飲んで寝る癖
酒飲むと喉が渇くとか、そういう話ではない。この水、ひんやりしてそう。
あたらしい挨拶をする 木枯しの街に尻尾を立てておまえと
わん、もしくは、チュンチュン。
白の椅子プールサイドに残されて真冬すがしい骨となりゆく
美しく人の世界が終わってしまった後の景色だとしたら。こんな涼しい骨なら良いかもしれません。
美しい地獄と思う億年の季節を崩れつづけて月は
地獄絵や火を見て、美しいと思うのはなんでしょう、皆言わないけれど美しいと思ってしまう事。
「なぜ」よりも「なぜいけないの」と問いたまえ少女よ船乗り志願であれば
なんでも、と答えてしまうのが、悲しい。
おしいれに小さな人がいるときは少しよぶんに鼻歌うたう
お、今日もいるなと。
みっしりと寄りあう海の生きものがみんなちがってうれしい図鑑
これも大好きな歌。歌集中一番好きです。真ん中は鯨が良いな、優しい顔の。
蟬たちを拾ってあるく、そのような九月生まれのぼくの天職
色んな仕事がある。いや、違うか。
まだ本屋さんで手に入るかと思います。とても綺麗な本です。
じゃ
ばーい