昭和36.6.10 琅玕洞発行
下田実花句集『手鏡』より。
電気屋に行くと色々説明を受けますね、たいていは、全く言ってる意味がわからないので、にこやかに「へー」とか「ほー」とか言っておいて、A子に説明を聞いてもらいます。電気屋さんは宇宙人なんじゃないかと思うほど、なんか説明をしてくれます。親切なのはわかるけど、電気屋さんに行くと、熱が出て、機嫌が悪くなり、やがて衰弱し、寝込みます。
電気屋さんが怖い。
では今日は第二句集の『手鏡』を読んでいきましょう。
ちなみに『手鏡』が刊行された昭和36年は『黙示』『金子兜太句集』が刊行されています。歴史を感じますなぁ。
雪どけをまはり道してお稽古へ
お稽古って憧れる言葉。俳句のお稽古、いや、違うなぁ…。
お祭のすめば小唄のさらひあり
予習復習。
涼みつつ座敷すませて戻りけり
ふぅ。
屏風立て古き箪笥をかくしもす
裏に。
火桶抱き頭に手置くそれが癖
ちなみに虚子の事です。ぺたり。
酒少し出して忘年句会かな
今日は特別。
疲れ鵜と見えてすぐさま浮ききたる
鵜だって辛いんだぜ。
昼寝よりさめて電話のベルが鳴る
黒いやつ。
よきことのありし夏すぎ秋もゆく
いつも楽しく過ごしたいわ。
いま受けし神の熊手のたのもしく
結構良いの買いました。
飴なめて咳をおさへてしづかにゐ
これなんでもないけど、好きな句です。健気な感じが良い。
籠のふちちよつと結びて桜餅
ちょっとほどいて桜餅♪
お昼寝と聞いて逢はずに帰りけり
ちなみにこれも虚子先生。お昼寝って可愛い。
みな好きといふ粕汁を今日もして
そんなにお好きなら。
新しきものを身につけ初詣
華やかな事はよき事よ。
実花さん、品が良い句が多いのですが、たまに少しだけ寂しい句があります。それがまた出過ぎていないところが良い。
その人生があまりに劇的なのですが、作品のみで見ると、それはそれでとても魅力的です。句集も古本ですが、わりと簡単に手に入ると思いますよ。
ちなみに実花さんが亡くなったのは昭和60年。「俳句」では二月号で実花追悼(深見けん二さんが書いてます)、四月に瓜人追悼、五月に草堂追悼となっています。「玉藻」では60年三月に立子一周忌特集、九月にはつる女米寿記念特集となっています。
手を伸ばせば伸ばすだけ何か面白い事がわかる、雑誌って時間が経過するとどんどん面白くなりますね。だからどんどん本棚が埋まります。
じゃ
ばーい