愛燦燦と鞆彦

2015.4.27 ふらんす堂発行
村上鞆彦句集『遅日の岸』より。

今日は大恩ある村上さんの句集を紹介します。

僕、大学生の頃は俳句友達もなく高知に居ましたので、東京さではどんな人達が活躍しているのか全く無知でした。僕は根暗でちまちましていてしかも暇ですから、総合誌やネットでわりと真面目に俳句のことを調べたりしていました。この感じは地方の人にしかわからないと思います、東京は簡単に人と出会ってしまう場所なので。

で、当時注目していたのが、村上さん、河の鎌田さん、大谷さん(現古志主宰)の三人でした。僕、良い勘してるでしょ。流行と関係無い人、五年十年ビクともしないような作家はこの人達かなぁと、勝手に思っていました。ちなみに僕が結社に入る前の話です。

村上さんの俳句はネットから俳句を印刷したり書き写したりしていました。ストーカーみたいで怖いですね。

いやー、とっても尊敬していたわけです。今もしてますよ、ほんと。

関東に来てから、立ち飲み屋でばったり村上さんと会った時に「こっちいらっしゃい、一杯どうぞ」とかなんとか優しくしてもらったのが、七年前ぐらいかなぁ。その時に敦子さんや央子さんとも初めて会ったはず。

その頃はたびたび村上さん家に俳人が転がりこんではどんちゃんやっていて、やがて皆、恋人が出来たり結婚したり、色々あったりと集まりが減っていきました。

その後も僕は転がり込み続け、句集や酒や食料やなんやかや、行くたびに持って帰り続けました、ひどい盗人です。

若手アンソロジーが出続けて若手プチブームみたいな波が来て、僕はその波に乗れてなかったですから、人様が羨ましく、村上さん家で飲んでは荒れ放題に荒れてましたら、青畝全句集を下さいました。結局その青畝全句集のおかげで今の僕があると思います。あとは、飴山實の短冊を持って帰りました、急にあげると言われて、遠慮なく。はい、返しませんよ。

書けることや書けないような思い出がたくさんある村上さん。こんなに面白い人はちょっと居ないんじゃないかなと。日本の宝です。

じゃ、そろそろ句集を読んでいきましょう。

暗算の途中風鈴鳴りにけり

暗算は軽やかに。

放課後のプールしばらく揺れ残る

放課後のプール感。

月の夜の大きな橋と出会ひけり

村上さんは橋を渡りつつよく電話かけてきます。

あをぞらをしづかにながす冬木かな

のびのびとした冬木。空気もよく、空もよく。

花の上に押し寄せてゐる夜空かな

見上げなさい。

薪投げて炎怒らす雪へ雪

楽しくて投げる薪。

指先の蟻大空を感じゐる

蟻「うおおぉ!!」

畳屋を出てゆく畳春の風

これよく思い出す句、リズムよく春らしく。

降り消してマッチの匂ふ秋の雨

インド人の友達が泣きながら頼むので禁煙しました、と言っていた村上さん。最近また喫ってたけど。

万緑やどの木ともなく揺れはじむ

いつでも気分よく、楽しく。

伊勢海老の髭の先まで喜色あり

立派な伊勢海老。高級なやつ。

湖のもの食うて夜長の湖の町

近江はいつも楽しい町。

曲がりても築地のつづく春日かな

村上さんの趣味の一つは散歩です。街の賑わいを見に行くそうです。

ギョーザ焼く音雨に似て夏旺ん

これ最近の句では一番好きな句。美味しそう。

村上さん、どうかいつまでも元気で居て下さい。

泥鰌行きましょう。

あと店内で「この鰻はレンジだ、チン鰻だ」とか大声出すのはダメです。

「ションベン焼ソバ行こう」とか店の前で言うのもダメです。思い出横丁だからってダメです。

あ、次の留守電には「愛燦燦」でお願いします。

じゃ

ばーい