涎どばぁ①

2015.4.19邑書林刊行
北大路翼句集『天使の涎』

村上さんと飲んでいると、二軒目ぐらいから「翼に会いに行こう、翼が元気か見に行こう」と言い始める。

毎晩毎晩翼さんが現れる店が歌舞伎町にある。僕はまだ二回しか行ってないけど、妙に居心地が良いのでまた行こうかなと思う。

翼さんがまた面白くて魅力的だ。
見た目はどうにもおっかないのに、優しい人で人気者なのだ。

翼さん「麒麟なんて恥ずかしい名前だなぁ、北大路ぐらい恥ずかしいわ、だはははー」

なんかね、愛がある。

ほらほら、あそこで飲んでる人が翼さんだよ、見た目恐いけど、優しい人だから、話しかけてごらん、って別の店でばったり会った時に若い子に説明していたら…。

翼さん「こら!恐くないわぁ!」

と振り向いて、若い子に、どうも、北大路ですって挨拶してて、優しい人だなぁと。

てめぇ、こら、書くんじゃねぇ、殺すぞ、とこの文章読んだら翼さん言うだろうから、書いたことは内緒にしとこう。

また村上さんと店覗きに行きますね。

じゃ、そろそろ句集に入ろうかな。

北大路翼さんの句集『天使の涎』です。

電柱に嘔吐三寒四温かな

路上で吐いてたり、終電を逃したりすると、季節を感じます。

春が来るすなはち春の歌舞伎町

ウキウキと歌舞伎町。

漢たれ俳句まみれはゲロまみれ

押忍。

声小さきものから消えて春の闇

生き残ろうぜ。

チンピラのままの一生春の蠅

楽しく、ギラギラと。

がんばつて胸元をあけ落第す

漢の季語、落第。

こんにちはスケベな花咲爺だよ

ハローハロー、花咲爺だよ。

うーんとつてもジューシーな熱帯夜

熱帯夜、それはジューシー。

2千句入った句集だけど、面白くってどんどん読めます。個人的には朝読むのが良い。

面白いので、あと一回翼さんやります。

じゃ

ばーい