2015.7.15 角川書店刊行
矢野玲奈句集『森を離れて』より
子どもにほとんど触れたことがありません。触れたことが無いので、ちょっと、いや、大分怖かったりします。嫌われたらどうしよう、泣かれたら可哀想だとか。あと子どもは柔らかいので怪我なんかさせちゃいけない、とか慣れていないのでドキドキします。
僕が唯一に近いぐらい触れ合ったことがあるのが、玲奈さんの息子さんのKくん。玲奈さんもそのダーリンも好きなので、A子と一緒に遊びに行かせてもらったことがあります。
子どもに見つめられると、ドキドキしますね。
幼いKくんは気をつかってくれたのか、ニコニコと僕と遊んでくれて、アゥー、なんて言って玩具を手渡してくれた時は嬉しかったなぁ。じーんと来るものがありました。
その日遊びに行ったおかげで子どもに対する怖れと言うか、触れても簡単に怪我をしたりしないと、ホッとするようなところがあって、電車の中で子どもを見る目が少し変わったような気がします。
この前電車の中で、アゥーっと隣の赤ちゃんにペタペタ触られたのですが、何か嬉しかったなぁと。
子どもの話ばっかり書いたけど、句集の紹介の話です。好きな人が句集を出すのは実に嬉しい。そしてその句集の中に幸福な俳句が詰まっていると、あぁ、良かった、嬉しくなります。
苦しい句や寂しい句、鋭い句、あとわからない句、そう言うのも好きだけど、僕は玲奈さんの句とか読むと、ふっと軽くなるような、嬉しい気持ちになります。
永くなったけど、そろそろ紹介に入ります。虹さんのはまだやるけど、今夜は玲奈さんの句集を。
賑やかに駄菓子並ぶや涅槃西風
赤や青や黄色の甘いやつ。
大胆な足の運びの西瓜割り
一撃粉砕。
明るさは私のとりえ秋刀魚焼く
何があろうと明るく。
鯨ほどの愛を受け止めてゐるか
ビッグなやつ、優しいやつを。
スケートのはればれとした刃音かな
スマートにスケート。
それぞれのうしろ姿や鯊日和
それぞれなんだか楽しそうに。
恋猫の集まつてくる暗さかな
思ったよりもぞろぞろたくさん。
出遅れし賢者の転ぶ聖夜劇
賢者様ころん。
初旅は松山と言ふ人ばかり
俳人の友達はだいたい俳人。
村ぢゆうの爺が出てきて秋祭
婆ものそのそ。
羽子板にふさふさ髪のありにけり
触っても良いけど抜いてはいけない。これは結構高級な方の羽子板でしょう。
仏生会こんなところに抜け道が
抜けようの道。
吊忍たつぷり濡れて売られをり
濡れとる濡れとる、立派だね、涼しいね、でも買わない。それが吊忍。
手加減の出来ず双六あがりけり
玲奈さん、サイコロ振ったら五とか六ばっかり出そう。
目覚めれば初旅の地でありにけり
あら、もう軽井沢?とか言ってみたい。
洛北の寺から寺へ懐手
ぶらぶらぶらぶらしたい。四五日会社を休みたい。
父となる人と見てゐる桜かな
これは良い句、一番好きな句。シンプルな作りなのに、実感が無いと出来ない句でしょうね、って村上さんと泥鰌食べながら言ってました。
投げ返すテニスボールや雲の峰
良い夏。投げ返すのはテニスボールぐらいが良い。
めでたさのたつぷり溢れ出る初湯
これでもかと。
初夢の何か摑んでゐる子かな
アゥー。
簡単な料理といへば冷奴
とりあえずそれを。
行列は角を曲がりて鰻屋へ
南千住のあそこ?また鰻に並ぶと暑い…。
笑つても泣いても息の白きかな
笑ったり泣いたり楽しく。
良い句集です。
じゃ
ばーい