登四郎どうしよう20

2010.9.24 ふらんす堂刊行
能村登四郎全句集より

紹興酒は不思議な飲み物で、それだけ飲んでも美味しくもなんともないのに、不思議と中華を食べながらだといける。
何年も前に両親が突然東京にやってきて、せっかく来たんだから何か食べたいものがあるか聞いた。

母「酢豚が食べたいねぇ」

え?酢豚??

三越の地下で酢豚を買ってホテルまで持って行ってあげたことがある。

それ以後、僕もなんだか酢豚を食べる回数が増えた気がする。人間がふと食べたくなるものの一つは酢豚だ。

と思うと酢豚っていいなと思う。

『易水』より。

大旦なりけり海老寝より覚めて

海老のごと海老寝。

あたらしき声出すための酢牡蠣かな

つるんとしたやつを。

流氷を見て来し人の酒つよし

つよい酒はくさし。そしてくさいは美味し。

あさくさの水すこしある金魚玉

浅草には赤い王道な金魚が合う。

竹植ゑて眼裏(まなうら)にある雨の糸

つるつるつる。

皆言葉なくひたすらに毛蟹食ぶ

蟹は黙ってひたすらに。

鮎釣りの老人が選びぬきし岩

あの岩じゃ。

秋草の束秋草で結びあり

きゅ。

十一月たしかめてゐる薄眼して

うーん、うん、十一月。

火まつりの炎を弾く男肌

炎も弾く男肌。

かの老と夜食さがしの鉢合せ

あっ!

耳の日の半分に聞く褒め言葉

でもまぁ、褒めて欲しい。

水踏んでゐるさびしさの立泳ぎ

これ大好きな句です。確かに踏んでいると言えば踏んでいる。

露なめて白猫いよよ白くなる

タマ、ではない。もっと繊細な猫。いや、タマも可愛いけど。

溜息のひとつが飛んで狐火に

狐火とは登四郎さんの溜息です。

雪女男運なく消えにけり

雪女も苦労多し。

我も持つ加賀人の血や夏瘦せて

加賀強情の血や、と詠んだのも大分昔。

滝行のひとりわりけり見るもひとり

というより、見るは私。

小さなるでで虫踏みし後味や

小さいのは小さいので、嫌。

白地着て行くところみな遠からず

近くだけでいい。

バケツの底掻く蟹のゐて盆の月

蟹がいるなぁ。盆の月だなぁ。

これもいい句集でした。

では

ばーい