大阪のかたち、こないやねん

2015.5.25 川柳カード発行
久保田紺句集『大阪のかたち』

実は大阪生まれなんですが、幼い頃引っ越したのでほとんど何も覚えていません。

何年も前のこと、浅草の何だかあやしい店で飲んでいる時に、熊みたいなおじさんが「わて、大阪で浅草なんにもわかりまへん」ってな感じで入ってきて、僕は今より若かったしベロベロだったので「おじさん、おじさん、僕ね、大阪生まれなんですよ」ってふらっふらしながら話かけたら、おじさん嬉しかったのか「飲みなはれー!!」とお酒や食べ物をどんどん注文し始めて、ありがたーくいただいた思い出があります。

もちろんその日はベロッベロで電車なんか乗れず、雪の中浅草を朝までうろうろうろうろ歩いていました。

見た目的には、ちょっと、くんじろうさんに似ているおじさんでした。

あのあやしい店の場所がどうしても思い出せないけど、あのおじさんのことは時々思い出します。

あの優しさ、さみしさが実に大阪っぽいと思うんです。

これまた何年も前になるけど、川柳の樋口さんと二人で通天閣デートをしたことがあり、あぁ、大阪なら住んでもいいなと、ちょっとほんとに思ったんでした。生まれ故郷ってのはそんなところかもしれません。

あぁ、自由軒のカレーが食べたい。毎日でもいい、食べたい。

今日は川柳、ずっとやろうと思ってなかなか書けなかったやつを、久保田紺さんの句集『大阪のかたち』を読んでいきます。

ざぶざぶと醤油をかけて隠すもの

見ちゃだめ。

光らせて回しておけば大丈夫

とりあえず、大丈夫。嘘じゃないよ。

父さんは元気で生まれ変わらない

安心して下さい、元気です。

その大阪はわたしのと違います

大阪にも色々ある。僕はこてこてが好きだけど。

狸しか来ない狸のお葬式

あぁ、ぽんぽこ。狸だからこそいい。

ホームランバーの当たりがとまらない

おかわり君。

五十歳以上は入れるお風呂

渋い、湯。

大好きな隙間に誰か立っている

居心地のいいあそこ。

うつくしいとこにいたはったらええわ

ドキっとする句。関西弁っていいなと。

海はまだか海に出たくはないけれど

ないんだけれどさ。

どこの子やと言われたときに泣くつもり

準備はしています。

グリーンの全身タイツ着て逃げる

グリーンのあの人がそうです。

きれいなカマキリに食べてもらいなさい

全力で、逃げなさい雄。

一本は焦げて遠くにゆきました

天。

貸したままの傘は私を忘れない

「傘がない」をよく一人で聴いています。そんな時はウィスキーです。

どうしよううちのとうさんが真面目

真面目か!とツッコミを、とりあえず。

同じようにスライスしたのにまずい

自分のためにいれた珈琲はマズイって学生の頃友達が言ってたなぁ…。

クリスマスでした神戸も大阪も

異なる感じのそれぞれのクリスマス。

春になるたび切る人形の前髪

春ですなぁ、ってことじゃない。

信号がどんな色でも渡ります

こわくない、多分。

ぎゅっと押しつけて大阪のかたち

ちょっと苦手か、大好きでこれじゃなきゃだめか、それが大阪。

引きたい句はまだまだある素敵な句集です。

じゃ

ばーい