晴れての晴子⑥

平成14.6.30 富士見書房刊行
『飯島晴子全句集』より。

句会行ってくるけど、大丈夫。今日は飲まないから、大丈夫大丈夫、句会だけしたらサーッと帰るから、えぇ、もう全然大丈夫。

で、句会の後でやっぱり飲んで帰ろっかなという時もあるので、その時は、①周さんが居るからちょっと飲んで帰るよ②千方さんが句会来たから、ちょっとお茶だけ、等が有効なのでよく使う手段です。あとは、たまにはてふこさんとわいわい遊びたいんだ、とか中西くんとさ、今度飲もうって約束したからさ、とか、久留島くん、遠くから来てるから、ちょっと行ってくるよ、等はとても有効です。

一番一緒に遊んでいる相手の村上さんは、酔っ払って僕の鞄を引っ張って壊したあたりから、やや危険とみなされているので、ここは信頼のある周さんの方がメールの言い訳に使うには良いんです。

『儚々』を読んでいきます。

初夢のなかをどんなに走つたやら

夢の中の無限の距離を。

干大根いまはかけがへなきいろに

あぁ、とてもいい感じの。

わけもなく機嫌直らず土筆飯

へそは曲げたら曲げ通す。

桐咲いてほつそり育つ男の子

頼朝のような、綺麗な子。

二人して忘れてしまふ大向日葵

向日葵が記憶の結晶のような。

福耳の人と雨月をたのしめり

雨月ですなぁ感。

富士晴れて大根引の尻高し

めでたさの尻高し。

当てにして来し豆の飯にはあらず

これ違うやつや。

豆ごときでは出て行かぬ鬱の鬼

いつまでも居る鬱の鬼。そして鬼は単体とは限らない。

かくも濃き桜吹雪に覚えなし

誰かのしわざか。君か。

昼顔は誰も来ないでほしくて咲く

そういう花。この昼顔が絶妙。

夏の寺老いたる孔雀飼ひてあり

寺に色々、孔雀に色々。

梅一枝挿してしばらくして匂ふ

美しい死のような、じわっとした。

帚木の紅から紅とさまよへり

そこからそこへ。近そうな距離をさまよっているような感じが奇妙で面白い。

家中の刃物を研いでちやんちやんこ

こわくないよ、刃物を研いでいる、だけよー、と何だかこわい。

翔べよ翔べ老人ホームの干布団

自在でありし頃の魂よ。

二つきりそれでもちやんと蟻地獄

ちゃんと地獄の蟻地獄。

今生の螢箒を振り廻す

ぶんぶん。

行き当りばつたりに来て寝釈迦かな

終着点の大いなる安らぎ。

烏蝶何を為出来(しでか)すやもしれぬ

心にとりつくかもしれぬ。

今生の闇凛々と曼珠沙華

いきいき燃える心の闇。

をんならの足許冬の蟻地獄

ほらここに、あそこに、地獄、蟻地獄。

今日はこの辺で

じゃ

ばーい