昭和46.12.10 大雅洞刊行
関根黄鶴亭句集『白鳥の春白鳥は』より。
大量の本を売りに行き、2300円でした。僕以外の人にとっての商品価値はこんなものなんでしょう。
本はあまりたくさん置いておくと床が抜けるらしいし、地震の際頭上から降ってくるのも怖い。惜しいなぁと思いつつも定期的に本を売るようにしています。
本当は、売りたくないんだけど…。
2300円を得て2000円の句集を一冊買いました。
今日はこれをやります。
『白鳥の春白鳥は』という句集、いいタイトルですね、作者は関根黄鶴亭、詩や歌、童謡もやる人です。さっそく読んでいきましょう。
新蕎麦をけもののやうに静かに食ふ
けものが好きな感じが良い。実際この句集は動物句集と書いてあるだけに、生き物に対する愛情いっぱいです。
蕎麦しらぬ生きものたちをふと想ふ
人間でよかったと思う。蕎麦食う時は。
猫笑ひ夜の木槿を噛みゐたり
楽しいにゃん。食べるわけではないにゃん。
虎の斑に似し夕焼けもすぐ忘る
ボーッと、していたら夜に。
野が果てまで凍れば犬が生きて歩く
生きるわん。
春の草より生まれ来し兎かな
ぴょん。春の草が優しくて良い。
黒兎耳洗ひをり秋風に
少し鋭い秋風がいい気持ち。
ふる里よ蟬の薄翅(うすば)に囲まれて
あっつい夏、楽しい夏、ふる里。
鳳仙花蟻の世界の花の王
蟻から見える、大きな世界。
大やんまついと入り来ぬ草の宿
ついと出ていく。田舎には驚きがある。
河とんぼ独りの時間大切に
河が良い。
ていねいに蜂逃しをり誕生日
今日はいい日だから。でもいつでも逃しそう。
心が優しくなりそうな句集です、次回は続きから。
じゃ
ばーい