博道だぞう②

2009.1.2ふらんす堂刊行
『季語別櫻井博道句集』より。

子どもの頃、特に小学校以前の記憶がほとんどないのですがみなさんはどうですか?
そんなものなのか、僕が薄情なのか、単に記憶力がないのか、場面を写真のように一コマづつしか思い出せまん。

ほとんどない記憶の中の一つが、天津飯で、とろとろと輝いていて、美しい姿が記憶にあります。

かすかに残るもう一つの記憶は、肉だんごで、確か商店街に美味しい肉だんごが食べれる中華屋があったような思い出と、これまた甘くて光り輝いていたような美しい姿が記憶にあります。

きっと、中華が好きだったんでしょうね。

恥ずかしながら、今でもきらきらトロトロとした中華が大好きです、太るけど。

櫻井博道今日は第二句集『文鎮』です。

雪の山父の朝餉のすぐ終る

さっさと。雪の山の冷たさが良い。

枯山にながく停まりぬ遊覧船

出番はいつか。そこにあると目立つもの。

晩夏の海母の体操手を振るのみ

フリフリ。

虫の闇あたまのなかで手紙書く

それから書こう。

リラの花つぶやき引ける古語辞典

たまに手にとると、中は不思議で美しい言葉がいっぱい。

目のありて鯨の文鎮春隣

気に入りの。鯨は目が良い。

桔梗の開かむとしてむつつりと

ぱんぱんに膨らむ。

石垣は墓のにほひぞ夜の桜

古い石はみな、どこか墓のよう。

山を見て山遠くなる春の暮

山だなぁ感。

柿を捥ぐ声に加はる一老婆

老婆「捥げぇ捥げぇ」

遅桜テトラポットの退屈す

テトラポットも退屈す。

足組んでみつ豆を待つ男あり

的場浩司。

夏痩の少年突然走り出す

全力少年。

春の雪寺の木としてさるすべり

綺麗にのっかる。

地球儀をかかへて下校梅の中

いつしか触らなくなるもの、地球儀。

はじめより一人花野をどこまでも

楽しいなぁ。はじめより、どこまでも、一人だけど。

今日はここまで。次回は第三句集です。

じゃ

ばーい