昭和57.9.15角川書店刊行 「杉田久女読本」より。
嘘みたいにお金がなくなるので、しばらくは古本屋に近付かなかったのですが、軽い気持ちで見るだけ、見るだけと神保町へ行ってみると、やはりあっという間にお金が無くなってしまいました…。
本を買うと気持ちがスーッとするのはなぜでしょうか。衣食住と関係のない、無くても死にはしないものに対してお金を使うことが、あぁ贅沢したなぁと感じるのかもしれません。
僕の父も昔はよく必要ないものを買ってきたものでした。庭には鶴の像が三体あり、布袋さんや観音様は多数、あと掛軸とか壺とか…。そのたびに僕は嫌ぁな顔をしていたのですが、あれは僕が本を買っていい気分なのと似たような効果があったのかもしれません。
いやいや
僕の本達は、役に立つ
…はず。ま、楽しいんだから良いかな。
では久女の続き(補遺684句)から。
コスモスやとまと切る皿の繪の模様
トマトには何の繪が合うか。
修理して厨明るき若葉かな
ビフォー、アフター。
霧の中にボーと鳴る汽笛や黙す夫婦
霧の中にボー!
魚見せて呼べど猫来ぬ寒さ哉
おいでおいで。どうしたの?
ひややかの竃に子猫は死ににけり
ひややか過ぎる上五、可哀想。
打ち上げて忽ち氷る藻なりけり
氷るも。
折れて惜しむ手馴れの針を供養かな
愛用の。
夏山をめがけてはやき燕かな
夏もいきいき燕。
では
今日はこのへんで。
ばーい