ミスター零⑪

杉本零句集「零」
平成元年二月二十一日、杉本零遺句文集刊行会発行

会社の先輩からは、「西村くん(麒麟くんは西村くんです)の唯一尊敬できるところは昼の弁当を残さないところだ」と言われています。

なんというか、僕を見てるとわかると思いますが、こう、僕やる気がないわけじゃないんですが、いやいやまして悪気なんざ無いんですが、仕事というものがどうできない、いやほんとすんません、社長。うちの会社は僕が仕事をあまりしない事に慣れてきまして、わりとそっとしておいてくれます。

僕は友達が少ないので、句会や勉強会ぐらいでしか若い男女(俳句の世界では70以下ぐらいを言う)と遊ばないんですが…。

うちの会社の人は、僕が月に何度も合コンに行き、遊び歩いていると思っています。で遊び歩いているうちにいつも金欠でどうしようもない、飲んでは吐いてばかりいやがる、あぁどうしようもない、仕事もできないし、クビにしたろか、いや、まぁ困らないけど、寂しいからもうちょっと置いておこうかな…

と思っている、多分。

さ、零さんやろうかね

かにかくに銀座世に古る師走かな

銀座は冬が良い、白くて綺麗だけど嫌味がない。意外と安くて美味しい店が多いとこも良い、お金がなくてもふらふら歩いて楽しいところも良い。

花に飽き影を見てをりフリージア

影には飽きないところが寂しい

田螺より淋しと思ひ田螺喰ふ

それはすごく淋しい

あたたかや思ひ違ひの思ひやり

これ、季題が先に浮かんだのかどうかがとても気になる。後だとすごいなと思ったり、いや、先でも素敵かもしれないなぁとも…。

ブランデー珠と温め寝待月

これはいいブランデー

手毬唄一に返りて一人つく

寂しくなくなるまで遊ぶんです。

雲雀野に現れ消ゆる電車かな

あぁまた来た、どこに行くんだろうか。
なんて書く代わりに零さんの一句で良い、そっちの方が良い。

秋の蠅ものにとまりてまぎれけり

「もの」と大きくぼかしているのが効いてます。夏の蠅の句だとちょっと汚い感じがするので秋がちょうど良い。

さ、また来週。明日も仕事だ、がんばるぞ、ふわぁ~あ、寝よ。

ばーい