佐藤佐太郎全歌集
昭和52年11月10日、講談社発行
この人が飲むと美味しそうに見える、という人がいます。ビールではK石さんが一番美味しそうに飲むし、日本酒ではS子さんがいい飲みっぷりだと思う。
さてさてそういう意味では、西では川柳の樋口さんかなぁ
以前樋口さんに遊んでいただいた時に、
「酒はいくら飲んでもいいけど栄養ドリンクとかはダメよ」
と言われたのをよく思い出す。僕は完全に栄養ドリンク中毒で、あれがないと元気がでないのだ、なんというかあれがあれば良い句が浮かぶ気すらする。あれがあれば二日酔いにならない気がするのだ。
しかし、しかしです、今栄養ドリンクを断っています。樋口さんの言いつけを守っているんです。
しかしながら飲みたい。え、栄養ドリンクが欲しい…。
仕方がないから毎日ドクドクドクドクお酒を飲んでいます。酒を飲む分には樋口さん、叱らないので嬉しい。
さ、短歌を読もうかな、ええ、はい、佐太郎さんやりますよ。
『歩道』の続きからです
昭和九年(佐太郎25歳、学生の頃は25歳ぐらいになったらなんとなく暮らしていけてるとぼんやり思ってました…、もうすぐ30だけど、いやいや…、これはどうも死ぬまで貧乏ですな)
朝冷えて眠りてをりし暗闇に天井の高き部屋に眼をあく
パチリ(起きた)
さまざまの鳥の標本を鋪道より吾は見たれば生ける鳥も居り
あ、これは生きとるっ。歌集を読むとわかるけど青年佐太郎は感覚がとても繊細。
日曜の夕暮になり路地むかひの二階に雨戸ひく音きこゆ
なんて日曜らしき、夕暮らしき、路地らしい歌なんでしょ。
一日がそこはかとなく朝あけて生き疲れたる人のごとしも
青年佐太郎も疲れる。今も昔も25歳ぐらいの時はこんな感じだと思う、あれ、僕だけかな…。
天井の高き室なかにわれひとり晒されしごとくにて夜半に眼をあく
天井が気になって仕方がない
葉鷄頭の赤き一群(ひとむら)が目にうかべど植物のごとき感じにあらず
確かに。見慣れてるけどよくよく考えるとね…。
昼すぎの明るき外にふる雪や庭にひとつある石に消えつつ
好きな歌。読みあげると心がすっとする歌。辛い苦しいとか感情をどっと読み上げた歌もいいけど、たまにはこんな歌が読みたい。
昭和10(佐太郎26歳、26って言われたって僕より三つ下だもんなぁ…)
波ひきし磯の上にはひとすぢの波のなごりが白くながれつ
波のなごりだなんて、佐太郎26歳、大人です。
なにごともなき街空や部屋いでて今日も昼すぎの街をゆくべし
全然関係無いんだけど、用もなく下北沢を歩きたくなる日がたまにある。あそこは好きなパン屋があるのだ。
いつまでも輝くごとき光して夕雲は見ゆ鳥も飛ばなく
神々しいような夕雲。いいなぁ、鳥さえ、飛ばないような。
立ちどまり吾の見てゐる白き犬は目当あるらしきさまにて歩く
こんな犬みたいに生きたい。白いとこが実にいい。
人生色々あるけれど、すっきり佐太郎、また来週。
ばーい