とても立派な内藤鳴雪②

大正4.4.10日本社発行『鳴雪俳句鈔』
昭和60.10.19松山子規会発行
畠中淳編著『内藤鳴雪』
平成14.7.16岩波書店発行『鳴雪自叙伝』

なんだかこの頃、軽い尖端恐怖症のような気がします。鉛筆やらハサミやらがこっちを向いているとなんだか気になって向きを変えてしまいます。

生きて行く事により経験を積むと、苦手なものって増えていくのかなと…。

蝉は内側が気になるし、海老は節のひとつひとつが気になって…。電車に乗ると乗客が妙に気になる。

30年生きただけでこんなですから、80年ほど生きた時、どんな世界が見えているのか、とても気になっています。

可愛いじーさんになりたい。

さて、鳴雪の二回目ですよ。

今週の『鳴雪自叙伝』より

五歳の冬に私は上下着をした。小さな上下に大小をたばさみ、親類うちなど披露にまわった。上下着をしてからは、小っぽけな体でも屋敷外へ出る時には大小をささねばならなかった。


明治の子どもはシャキッとさせられます。日本もちょっと前までこんなだったんですね。

その頃江戸では『辻斬り』が実に頻繁に行われた。これは多く田舎出の侍が新身の刀を試すとか、経験のために人を斬るので、夜中人通りの淋しい処に待ち構えて通行人を斬った。斬られるのは大抵平民であった。


えぇ…、鳴雪の時代ってまだ辻斬り居たんですか…。日本もちょっと前まで幕末だったんですね。ちなみに鳴雪翁の若い頃の写真は完全に武士で、なかなか強そうです。晩年はご存じの立派なヒゲです。

『鳴雪自叙伝』は俳句というより、明治ってまだそんな時代!?という楽しさが詰まっています。これは難易度の高くない古本ですので心ある方はぜひ手に入れてください。

今週の畠中淳編著『内藤鳴雪』より
鳴雪の好物を書いた興味深いページがあるので紹介させていただきます。

二月十日、先生、看護婦と中井老人に申しつけ先生自身の好める食物を、書き取らせ置く。シンコ餅、鮓、むしすし、うなぎ飯、おはぎ、雑煮、アンコ、オコワ、らつきよう、鯉こく、団子、奈良漬、柚味噌、サツマ汁、甘梅干、酢梅干。

先生、オコワを好み、ここに書き並べたるものはしばしば食膳に上る。


好きな物多いなぁ。七十を過ぎたら

パンパンっ←手を打つ

麒麟翁「オコワを!オコワを持てぃ!」

とか言ってみたい。大人の料理オコワ。

俳句も見ていきましょう
『明治俳句』より鳴雪の句をいくつか

美しき駕通りけり麦の風

麦の風ってのがなんだか良い

夕顔や馬洗ひ居る武士の妻

偉い

月がさす厠の窓や時鳥

硬派な厠

蝿多き店の夕日や生節

ぶーん、またぶーん

宗匠の物知顔や夏羽織

物知顔もまた商売道具でっせ

殿原が馬で見に行く幟かな

よいなり(幟が)

水飯の膝に冷たくこぼれたる

鳴雪翁でも「冷たっ」とか言うのかな…

長き夜を物喰ひ過ぎて寝苦しき

い、胃薬を持てぃ

釜で出す松茸飯や客の中

松茸飯はどんと食え

中々に蚊もなくて秋の淋しかり

居なきゃ居ないで…

右左持ちかへて打つ砧かな

右疲れたら左

馬も売り駕も売りけり人の秋

あぁー、やるせないなぁって思いながらチキンラーメンを食べるのは今も昔もきっと一緒。

珍重す五升瓢や冬篭

かなり入るね。僕のほしいものベスト10に常に「立派な瓢」が入っていますが、なかなか良いのがない…。

それじゃまた

ばーい