「誰も言はず」 江渡華子

「誰も言はず」 神野紗希

聴覚で恋せよ夏蝶ゆらめきぬ
ひまわりやおむつの冷えて重たくて
「来ないで」も「来て」も泣き声夏の月
風鈴のやはらかきこと誰も言はず
スプーン大好きぞんぶんにアイス食ふ
その汗は昨日の麦茶かもしれぬ
ひきだしにさじ様々や祖母の盆