「幽閉」 野口る理

「幽閉」 野口る理

風鈴や崩壊を待つ本の塔
ベランダに洗濯バサミ暮らしけり
雷雨襲来たしかなものとしてベッド
ピッケルもレジャーシートも靴箱に
手濡らして氷菓を届け呉るるなり
おほげさにいふ羅の薄さかな
寝不足の晩夏をすべる目玉焼