「生命感」 野口る理

偽物のやうな本物とは金魚
梅雨寒をよぎる言葉の平べつた
独白やラムネに滾る生命感
フェンスに腕ばさりと垂らし羽蟻見る
枕木の色安らかに柚子の花
瓶ごしに冷酒の影や揺れて青
父母の夜空ととのふ薄暑かな