八百屋の店頭に並んだトマト。既に熟して、指で押せばへこんでしまうほどだ。ひと山ごとに、破格の値段がついているのだろう。とはいえ、食べられないわけではなく、パスタソースに使ったり、ミネストローネにしたりすると、じゅうぶん美味しい。
そうした過熟トマトのありようが、現代における「吉本隆明」であるとでも言いたげなこの並列に、私もうなずきたくなった。
「俳句」最新号(2012年6月号・角川学芸出版)の現代精鋭7句「記憶の隅」より。
〈ゆく春のゆうべのポテトサラダかな〉も好き。ポテトサラダが、春の世界に残されてゆくようで。その”ポテトサラダ明り”が、おかしく、せつない。
今回の現代精鋭7句の中では、白井さんの作品が一番面白かった。扉を開く力があった。